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羊毛小話


vol.2


  ウールには環境問題に役立つ良い特性があります。
空気を汚す物質の1つホルムアルデヒド。これを吸うと、吐き気・目まい・頭痛などの症状が起こります。いわゆるシックハウス症候群と呼ばれるもので、発ガン性まで指摘され問題になっています。

  数年前から北里環境科学センターやニュージーランド羊毛研究所などの研究機関で、ウールが空気の浄化に役立つ素材である事を実験・研究しています。
現在、厚生労働省やWHOが定めるホルムアルデヒドの安全基準は、0.08ppmの濃度です。これに対し、測定装置内には5ppm・420ppmという高濃度の環境下で、ウールカーペットを用いて羊毛の吸着能力を調べました。
結果は、5ppmの濃度ではたった40分で装置内の空気はきれいになっており、さらに420ppmでも4時間後にホルムアルデヒドは、ほとんど無くなっていました。この420ppmという濃度は致死量の4倍とされている事から、ウール繊維の空気中の有害物質を除去する能力の高さには驚かされます。
加えてこの能力は一時的なものではなく、30年に及ぶ長期にわたって吸着し続け、一度吸着した汚染物質はウールと化学的に結び付いて無害なものに変わり、外部に放出されないという事まで実証されました。
この事から、ウールには空気を浄化する素晴らしい能力がある事がわかり、近年大変注目されています。環境問題と呼応しながら、多くの人々や分野に広まり、羊と人間がもっと仲良くなれば良いなと思います。

参考文献 染織α No.277

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